梅雨の茶室は、緑がいっそう深くなります。
雨というと嫌なもののように言われますが、お茶の世界では、雨の日は雨の日の楽しみがあります。今日はそのことを書いてみます。
雨の日は緑が美しい
雨に濡れた庭の青楓や苔は、晴れた日よりずっと色が深く見えます。露地の飛び石も雨に濡れて黒々と光り、しっとりとした風情があります。
茶室から眺める雨の庭は、掛け軸の水墨画のようです。「雨もまた良し」という気持ちになります。
雨の音を聴くお茶
茶室で静かに座っていると、屋根を打つ雨の音、庭木の葉から落ちる雫の音が聞こえてきます。
禅語に「聴雨(ちょうう)」という言葉があります。雨を聴く。ただそれだけの言葉ですが、雨音に耳を澄ませる時間の豊かさを表しているのだと思います。
釜の煮え音は「松風(まつかぜ)」と呼ばれますが、雨の日は松風と雨音が重なって、なんとも言えない静けさに包まれます。
湿度が高い日はお茶が点てやすい?
これは私の実感ですが、湿度の高い日は抹茶がしっとりして、泡がきめ細かく点つ気がします。乾燥した冬の日は、お茶が茶碗の中で舞い上がることがありますから。
科学的にどうなのかはわかりません。でも「雨の日はお茶がおいしい」と思って点てると、本当においしい気がするから不思議です。
雨の日の茶席の心得
雨の日のお茶会では、着物や道具を濡らさない工夫も学びます。雨コート、替えの足袋、風呂敷。露地では傘や露地笠を使う作法もあります。
替えの足袋は雨の日に限らず持ち歩くのがたしなみとされています。席に入る前に新しい足袋に履き替えると、気持ちもあらたまります。
紫陽花の色が変わっていく
庭の山紫陽花は、咲き始めの薄い青から、日ごとに色が濃くなっていきます。雨の季節にしか見られない色の移ろいです。
「梅雨は嫌ねえ」と言いながら、傘をさして庭の花を見て回るのが、この時期の私の日課です。雨の日は雨の日の楽しみを。お茶がそういう心を教えてくれました。

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