七月に入り、暑さが本格的になってきました。
エアコンのない時代から、茶人たちは知恵をしぼって夏の茶室に涼を作ってきました。今日は夏のお茶ならではの、涼の工夫をご紹介します。
葉蓋(はぶた)——葉っぱが水指の蓋になる
夏の点前でいちばん風流だと思うのが「葉蓋」です。水指の蓋の代わりに、梶の葉や蓮の葉など、大きな葉を使うのです。
点前の途中で亭主が葉を取り、くるりと畳んで建水へ。ただそれだけのことなのに、青々とした葉が水指の上にあるだけで、目に涼しい。
裏千家さんの十一代玄々斎が七夕の趣向に始められたものだそうですが、季節の葉を使う美しさは流派を超えて夏の茶席の楽しみです。
洗い茶巾——水の音で涼を差し上げる
「洗い茶巾」は、平茶碗に水を張り、茶巾を浸して持ち出す点前です。
点前の途中、茶巾を絞るときに、ぽたぽたと水の滴る音が茶室に響きます。この水音がなんとも涼しいのです。
音で涼をとる。目で涼をとる。五感でおもてなしをする茶の湯の真骨頂だと思います。
平茶碗と義山(ガラス)の道具
夏の茶碗は口の開いた浅い「平茶碗」。お茶が早く冷めて、見た目も涼やかです。
水指や菓子器にはガラスの道具も使われます。お茶の世界ではガラスを「義山(ぎやまん)」と呼びます。江戸時代にオランダから伝わった言葉だそうです。透きとおった水指に水が入っているだけで、茶室の温度が二度くらい下がった気がします(笑)。
簾、打ち水、朝の時間
茶室の障子を簾戸(すど)に替えると、風が通って見た目も夏らしくなります。
露地には打ち水をします。土の匂いがふっと立って、風が涼しくなる。昔ながらの知恵です。
そして何より、涼しい時間を選ぶこと。夏の茶事は朝の涼しいうちに行う「朝茶事」が正式とされています。自然に逆らわず、自然に寄り添う。それが夏のお茶です。
暑さを楽しむ心
義母がよく言っていました。「涼しい顔でお点前なさい」と。汗をかいていても、慌てず騒がず、静かに座る。亭主が涼しい顔をしていると、不思議とお客様も涼しくなるものだと。
冷房で全部解決する時代ですが、水音や葉の緑で涼をとる贅沢も、忘れたくないものです。夏のお茶席に出る機会があれば、ぜひそんな工夫を探してみてください。

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