お茶の席に初めて入るとき、一番困るのが「座り方」ではないでしょうか。
どこに座ればいいのか。ずっと正座でないといけないのか。足がしびれたらどうすればいいのか。
私も茶道を始めたばかりの頃は、そのことばかり気になっていました。お点前どころか、座ること自体が心配で。今思うと、少し笑えてしまいます。
にじり口から入るのかどうか
茶室に入るとき、にじり口を使う場合があります。
あの小さな入口のことです。腰をかがめないと入れない。大人も子どもも、同じ姿勢で頭を低くして入る。それが平等の表れだと聞きました。身分の上下を持ち込まない、という利休さんの考えからきているそうです。
現代では、にじり口のある本格的な茶室ばかりではありません。和室を使うお茶会では、普通の入口から入ることも多いです。
迷ったときは、先輩やご一緒する方に確認するのが一番です。「どちらから入ればよいでしょうか」と聞けば、丁寧に教えてもらえます。初心者であることを恥ずかしがらなくて大丈夫です。
正座のこと、正直に話すと
正座は、茶道の基本です。
畳の上に膝を折って座る。背筋をまっすぐに。手は膝の上に、静かに置く。言葉にすれば簡単ですが、慣れるまでは本当に難しいですね。
私は今年の春に膝を傷めてから、正座がとても難しくなりました。手術をして少し良くなりましたが、それでも長い時間の正座は無理です。お稽古では椅子を使わせてもらったり、正座の時間を短くしてもらったりしています。
こんな私でも、稽古を続けられています。茶道って、体の状態に合わせて融通をきかせてもらえるところが、ありがたいと思います。
膝が痛い方、正座が苦手な方も、先生に正直にお話ししてみてください。工夫はいくらでもできます。
どこに座るか、これが大事なのです
お茶席での席順には、意味があります。
床の間を背にした側が「上座」、出入り口に近い側が「下座」です。最も大切なお客様、つまり正客(しょうきゃく)は上座に座ります。
初めてのお茶会では、下座に近いところへ。これが基本的な心がけです。
師匠からよく言われていました。「分をわきまえた席順を」と。格上のお客様より先に上座に座ってしまうのは、失礼にあたります。
迷ったら、「どうぞ、どうぞ」と譲り合うくらいでちょうどよいのです。その気持ちが、おのずとよい席順につながっていくと思います。
私もまだ、どなたかと一緒になったとき、どこに座ればいいか迷うことがあります。四十五年やっていても、そういうものです。
足がしびれてしまったら
これ、初心者の方が一番気にされることではないでしょうか。
お茶を一服いただく間は、できるだけ正座でいるのが理想です。でも、しびれてどうにもならないときは、少しだけ姿勢を変えることも仕方ありません。
若い頃の私は「しびれても動かないのが礼儀」と思い込んでいました。師匠も厳しい方でしたから、じっと我慢していました。
でも今は、少し違う気がしています。顔に苦痛が出てしまうほどしびれているのは、かえって場の雰囲気を乱すかもしれない。自然に、静かに、少しだけ姿勢を変える。それくらいは、むしろ自然なことではないでしょうか。
大事なのは、音を立てないこと。まわりの方の邪魔をしないこと。その心遣いだと思います。
座り方一つ取っても、茶道には「相手を思う気持ち」が込められているような気がします。形を覚える前に、その心をまず持つこと。それが、長く続けてきてわかってきたことかもしれません。
次のお稽古で、また少し意識してみようと思っています。

コメント