茶道体験の持ち物は何がいる?初めての支度と初秋の茶碗
茶道を体験してみたいと思っても、持ち物に知らない名前が並んでいたら、支度のところで困ってしまいますね。懐紙に帛紗、扇子。お茶を一服いただく前に、これを全部そろえるのでしょうか。
初めての体験なら、道具を買う前に、予約先の案内を確かめてください。道具を貸してくださる所もあります。白い靴下とハンカチを用意し、懐紙などは指定があれば持参する。そのように考えると、支度がしやすいと思います。
茶道体験の持ち物は、白い靴下と案内の確認から
体験に必要なものは、教室や施設によって違います。表千家の大橋宗智茶道教室では、見学・体験には座りやすい服装と白い靴下を案内しています。御茶ノ水裏千家茶道教室では、初めての方の道具は手ぶらでよいとし、足元は白足袋か白靴下としています。大橋宗智 表千家茶道教室「初めての方へ」、御茶ノ水裏千家茶道教室「体験稽古」
「手ぶら」とあっても、靴下まで何も要らないとは限らないのですね。
持ち物で迷ったら、次のように支度するとよいと思います。
- 清潔な白い靴下。履き替え用を一足、小さな袋に入れておきます。
- ハンカチ。手を洗ったあとなど、自分の手を拭くためのものです。
- 予約先から指定されたもの。懐紙、菓子切りなど。貸出があるかも確かめます。
- 当日払いなら体験料。現金か、ほかの支払い方が使えるかは案内を見ておきます。
白い靴下は、外を歩いてきた足元を改め、清潔に茶室へ入るための支度です。履き替える場所や時機は、受付で尋ねればよいですね。新品でなくても、洗濯したきれいなもので構いません。
九月も、暑い日は素足にサンダルで出かけたくなります。洋服で参加するなら、バッグに白い靴下を入れたか、出る前に一度見ておくと安心です。
ハンカチで茶碗を拭く必要はありません。自分の身支度に使うものと、お点前の道具は、役目が違います。
懐紙や帛紗は、体験の前に買うのでしょうか
懐紙は「かいし」と読みます。お菓子を取り分けてのせたり、口元や指先をぬぐったりする時に使う、折り重ねた和紙です。お茶席で膝の前に白い紙を広げているのを見たら、それが懐紙かもしれません。
菓子切りは、やわらかいお菓子を切り、いただくための小さな道具です。「菓子楊枝(かしようじ)」という名前で案内されることもあります。体験先で黒文字などを用意してくださる場合もありますので、持っていないからと慌てなくて大丈夫です。
帛紗は「ふくさ」と読みます。お点前で、茶を入れる器や茶杓を清める時に使います。茶碗を拭く白い茶巾とは別のものです。名前が似ていますので、初めてなら混ざってしまいそうですね。
茶道用の扇子もあります。挨拶などの際に使う小ぶりの扇子で、暑い時に開いてあおぐために持つものではありません。
こうして名前を並べると、やはり買わなくてはいけない気がしてきます。けれど、体験でどこまで習うかによって、使うものは変わります。お茶とお菓子をいただく体験と、自分で道具を清めるところから習う体験では、必要な支度も同じにはなりません。
私は表千家のお茶を続けていますが、帛紗や扇子などは流儀による違いもあります。初心者用の一式が売られていても、選ぶのは通う先が決まってからでよいと思います。気に入ったものを先に買って、習う時には別のものが必要だったとなると、惜しいですから。
案内がはっきりしなければ、「初めてで道具を持っていません。白い靴下以外に必要なものはありますか」と尋ねれば伝わります。難しい道具の名前を使って問い合わせなくてもよいのです。
茶道の「体験」は、何をする時間でしょう
体験とは、自分で実際にしてみて、感じたり学んだりすることです。茶道体験なら、お茶やお菓子のいただき方を教わる、自分で抹茶を点てる、お点前を見せていただく、といった入口があります。
ただ、「茶道体験」という名前だけでは、自分で点てるところまで含まれるかはわかりません。予約する時には、内容と所要時間も見ておきたいですね。教室に通うことを考えているなら、入門前の体験稽古かどうかも確かめます。
お茶を点ててみたい方もいれば、お客様としての振る舞いを知りたい方もいるでしょう。自分がしてみたいことを一つ伝えておくと、体験を選びやすくなります。
作法は、知らないまま伺ってよいと思います。そのために教えていただくのですから。茶碗を回す向きやお辞儀の順を、前の晩に全部覚えようとしたら、お茶を飲む前にくたびれそうです。
私は長く続けていますが、人に説明しようとすると、どこから話せば伝わるのか迷います。初めての方が何を難しく感じるのか、こちらも教えていただくことがあると思います。
洋服でよい時は、座りやすさも見てください
洋服で参加できる体験先なら、着物を新しく用意する必要はありません。畳に座る席では、膝を曲げやすい服がよいですね。締めつけの強いズボンや、座ると裾が大きく上がるスカートでは、自分が落ち着かなくなります。
袖口が大きく垂れる服も、茶碗やお菓子のそばで気になることがあります。立った姿だけでなく、家で一度座り、前へ手を伸ばしてみると見当がつくと思います。
指輪や腕時計は、道具に触れる前に外せるよう、小さな入れ物があると便利です。香水などの強い香りも控えたいですね。お茶の香りを、隣の方と一緒に楽しむ時間ですから。
正座に不安がある場合は、予約の時に相談してください。椅子で参加できるか、途中で足を楽にしてよいかは、会場によって違います。
私も今は右ひざに違和感がありますので、座り方を相談しておきたい気持ちはよくわかります。無理をして痛みばかり気になっては、せっかくの一服を味わえません。座り方の相談も、持ち物と同じように、前もって済ませてよい支度だと思います。
初秋の体験で平茶碗に出会ったら
体験の道具は、用意してくださるものを使います。茶碗や茶筅を、自分で持っていく必要があるかしらと心配しなくても、特に指定がなければ大丈夫です。
白露の頃も、お茶は風炉の季節です。風炉(ふろ)は、炭火を入れて釜を掛ける道具。その席で、口が広く、背の低い茶碗に出会うかもしれません。
平茶碗は「ひらぢゃわん」と読みます。広く開いた形の茶碗で、夏の茶碗として親しまれてきました。文化遺産オンラインの「瀬戸唐津茶碗」にも、口の広い平茶碗が夏に好まれてきたことが紹介されています。文化遺産オンライン「瀬戸唐津茶碗」
口が広いと熱が逃げやすく、お茶の緑も広がって見えます。暑さの残る日に用いるなら、飲みやすさと、見た目の涼しさを思ってのことでしょう。今この道具を紹介したいのは、初秋の体験でも、そうした夏の工夫に触れる楽しみがあるからです。
もちろん、九月の体験に必ず平茶碗が出るという意味ではありません。私なら、まだ涼しくいただきたい気持ちと、そろそろ秋らしい茶碗にしたい気持ちの間で迷います。その日の道具を選んだ方にも、お考えがあるのでしょうね。
平茶碗で点てることになったら、浅い形なので、勢いよく茶筅を動かす前に先生の手元を見てください。お茶をこぼさず点てるには、どのくらい動かすのか。実際にしてみると、形と手の加減がつながります。
いただく側なら、茶碗を支えた時の広さや、お茶の温かさに少し心を向ける。それも体験で覚えられることです。写真ではわからない重さや口当たりがありますね。
帰ってから、道具の名前を全部思い出せなくてもよいと思います。白い靴下を履き替え、お菓子をいただき、茶碗を両手で受け取った。その中に一つ、覚えていたい感じが残ればうれしいです。
初秋の一服が、またお茶に触れてみたいと思える時間になりますように。

コメント