先日、お稽古仲間のAさんから「薄茶と濃茶って、どう違うの?」と聞かれました。
長く続けていると、自分では当たり前になってしまって、うまく説明できないことってありませんか。「あ、そうか、最初はわからないものですよね」とあらためて思いました。
今日は、そのAさんとの会話をきっかけに、薄茶と濃茶の違いについて書いてみようと思います。
薄茶(うすちゃ)はどんなもの?
お茶会やお稽古でよく飲むのが、薄茶です。
抹茶を茶碗に入れて、お湯を注ぎ、茶筅でしゅっしゅっと泡立てたもの。あの、ふわっとした泡が表面に浮かんでいるお茶ですね。
使う抹茶の量は少なく、お湯もたっぷり目。だから飲み口が軽くて、さらりとしています。
お菓子を先にいただいて、そのあとに一服。という流れが基本です。
私が最初にお稽古でいただいたのも、薄茶でした。あのときの「わ、香ばしくて美味しい」という感覚は、今でも覚えています。
濃茶(こいちゃ)はどんなもの?
一方、濃茶は少し別世界の話です。
抹茶の量が薄茶より多く、お湯は少なめ。茶筅で泡立てるのではなく、練るようにゆっくりと混ぜます。できあがったお茶はとろりとして、深い緑色。飲み口も、どっしりと濃厚です。
最初はちょっと苦いと感じる方もいるかもしれません。私も若い頃は少し苦手でした。でも、茶道を続けるうちに、その濃さと香りが好きになってきました。
お席の雰囲気も、薄茶とは違います。濃茶のお席はより静かで、しんとした空気になります。同じ茶碗を回し飲む場合も多く、亭主とお客さまの間に、ぐっと深いつながりが生まれるような気がします。
薄茶器と茶入れ、使う道具も違います
道具にも違いがあります。
薄茶には棗(なつめ)と呼ばれる薄茶器を使います。塗りのものが多く、漆の艶が美しいですね。形が棗の実に似ているから、その名前がついたと聞きます。
濃茶には茶入れを使います。陶磁器のものが多く、仕覆(しふく)という袋に包まれています。茶入れは特に大切に扱われる道具で、名のある作家の品もたくさんあります。
師匠(義母)から「道具はその気持ちを映す鏡ですよ」と言われたことがあります。薄茶器は気軽に、茶入れは大切に。そんな心の使い分けも、お茶の世界の奥深さだと思うようになりました。
どちらが格が上?という話
よく「薄茶と濃茶、どちらが格が高いの?」と聞かれます。
濃茶のほうが格が上、と言われています。茶事(ちゃじ)という正式なお茶の集まりでは、まず濃茶、そのあとに薄茶、という順で出されます。
でも、私は「どちらが偉い」という気持ちで飲んだことはありません。薄茶はやさしく、濃茶は深く。どちらも好きです。
まだ濃茶の点前はうまくできないと思っているのですが、ゆっくり覚えていければいいかなと思っています。右ひざの具合もあってお稽古のペースが落ちていますが、焦らずに続けていくつもりです。
Aさんも、少しずつお稽古を続けているうちに、きっとその違いが体でわかるようになりますよ、とお伝えしました。
また稽古でゆっくり味わってみようと思います。

コメント