MENU

茶道の流派の違いとは?三千家と、秋の道具から知ること

自分が習っている作法と違うものを見た時に、すぐ間違いと思わないようにしたいです。私は表千家のお茶を続けていますが、慣れた扱いほど、それがお茶の作法の全部のように感じてしまいそうになります。

茶道の流派の違いは、受け継いできた教えや、お点前の手順、道具の選び方、扱い方などにあります。よく知られる表千家・裏千家・武者小路千家は、いずれも千利休の茶の湯を受け継ぐ家です。違いはあっても、お客様へ一服のお茶を差し上げるところは共通しています。秋分の頃の道具も、流派の名前だけで決まるものではないのですね。

目次

茶道の流派の違いは、どこに表れるのでしょう

流派は「りゅうは」と読みます。芸事などで、ある教えや技法を受け継いできた系統のことです。茶道では、先生から弟子へ伝えるお点前や、道具の扱いにも、その流れが残っています。

初めての方にわかりやすい違いの一つが、薄茶の泡でしょう。薄茶は、抹茶に湯を加え、茶筅で点てるお茶です。裏千家では表面に細かな泡を立て、表千家と武者小路千家では、比較的泡を控えて点てます。茶道体験を行う教室でも、三千家の違いとして紹介されています。さくら日本文化体験教室「茶道(三千家)」

ただ、泡の多い少ないだけで、お茶のよしあしは決まりません。表千家でも全く泡がないという意味ではありませんし、写真一枚から流派を当てようとすると、かえって迷うと思います。

違いは、茶碗の中だけではないのです。帛紗のさばき方、道具を清める順序、柄杓の扱い、客としての挨拶などにも及びます。帛紗は「ふくさ」。茶器や茶杓を清める布ですね。同じ目的の動作でも、手の運びが少しずつ違います。

私は長く一つの流儀で習っていますので、ほかの流派のお点前まで同じように教えられるわけではありません。知っているつもりで手順を書いてしまうのは、気をつけなければと思います。

違いを知る時には、何をしているところなのかを見るとわかりやすいですね。道具を清めているのか、お茶を点てているのか。役目がわかってから手元を見ると、細かな動きにも目が向きます。

表千家・裏千家・武者小路千家を「三千家」と呼びます

三千家は「さんせんけ」と読みます。三つの家の名前と、その中心となる茶室の名前を並べておきます。

  • 表千家(おもてせんけ)――不審菴(ふしんあん)
  • 裏千家(うらせんけ)――今日庵(こんにちあん)
  • 武者小路千家(むしゃこうじせんけ)――官休庵(かんきゅうあん)

千利休の孫にあたる千宗旦の息子たちが、それぞれの家を築きました。三男の宗左が表千家、四男の宗室が裏千家、次男の宗守が武者小路千家へとつながります。表千家不審菴「三千家分立」

名前が沢山出てくると、私はそこで読む手が止まりそうになります。初めは、同じ利休の茶を受け継ぎ、宗旦の息子たちから三つの家へ分かれた、と覚えておけばよいと思います。

表と裏という呼び名は、茶室の位置関係に由来します。武者小路千家は、所在地の武者小路通にちなむ名前です。表が正式で裏が略式、という区別ではありません。武者小路千家官休庵「千家と官休庵の歴史」

茶道の流派は、この三つだけでもありません。遠州流、石州流、宗徧流など、ほかにも続いてきた流派があります。三千家を覚えれば茶道の全部がわかる、というわけではないのですね。文化庁「茶道流派の種類と歴史」

秋分の竹の蓋置は、流派より先に季節を見ます

道具の姿が違うと、これも流派の違いかしらと思うかもしれません。けれど、同じ流派でも、季節やお点前が変われば使うものが変わります。

秋分の頃は、まだ風炉(ふろ)の季節です。風炉は炭火を入れ、釜を掛けて湯を沸かす道具。そのお点前で使う小さな道具に、竹の蓋置があります。

蓋置は「ふたおき」と読みます。外した釜の蓋や、柄杓の合を受けるものです。合は「ごう」と読み、湯や水をすくう先の部分を指します。

竹の蓋置には、節が上端にある風炉用の「天節(てんぶし)」があります。竹工芸の作り手も、風炉用と炉用を節の位置で分けて案内しています。高野竹工「蓋置」

今この道具を挙げるのは、秋分を迎えても風炉のお点前が続くからです。秋らしい絵の道具へ目が向く頃ですが、竹の節の位置にも、使う時季とのつながりがあるのですね。

竹なら何でも夏の道具、という覚え方では少し足りません。すっきりした姿に涼しさを感じることもありますが、どのお点前に用いるかも大切です。棚を使うかどうかなどでも選び方が関わりますので、実際の支度は習っている扱いに合わせます。

私には、こういう小さな道具のほうが説明しにくいです。竹を短く切っただけのように見えるのに、見ておくところがある。

違う蓋置を見た時も、すぐに流派の差と決めず、季節はいつか、どんなお点前かを確かめたいと思います。

習い始めるなら、どの流派がよいのでしょう

表千家を続けている私には、表千家のお茶に親しみがあります。けれど、それだけで、初めての方にも必ず表千家がよいとは言えません。

泡の立った薄茶を飲んでみたい。身近な方が習っている流派に関心がある。そのようなきっかけでもよいと思います。ただ、実際に続けるとなると、先生に尋ねやすいか、自分の暮らしの中で通えるかも大事になります。

見学や体験では、お点前の美しさに加えて、次のことも聞いておくと安心です。

  • 初めてでも、基本から教えていただけるか。
  • 稽古の回数や時間は、自分の生活に合うか。
  • 月謝のほかに、道具代や茶会などの費用がどのくらい必要か。
  • 座り方など、身体に合わせた相談ができるか。

流派ごとに月謝が一律に決まっていると思わず、通いたい教室で確かめてください。同じ流派でも、お稽古の進め方や教室の雰囲気には違いがあります。

裏千家には、地域から教室を探せる公式の稽古場検索もあります。流派に関心を持ったら、こうした案内から、実際に習える場所へつなげていくとよいですね。裏千家「全国稽古場検索」

道具を買うのは、そのあとでも間に合います。帛紗や扇子などには流儀による違いがありますから、入門先で必要なものを聞いてから選ぶほうが無駄になりません。すでに持っているものがあれば、買い直す前に見ていただきましょう。

ほかの流派のお茶をいただく時には

習っている流派と違うお席に入る機会もあるでしょう。その時に、相手のお点前を自分の習った手順で採点するようには見たくないものです。

初めてなら、その流儀の作法に詳しくないことを伝え、わからないところを尋ねればよいと思います。客の扱いで案内があれば、その席に合わせます。違いを全部覚えてからでなければ一服いただけない、というのでは、お茶が遠くなってしまいますね。

学び始めのうちは、本や動画を見る時にも、どの流派の説明かを確かめてください。別々の手順を知らずに混ぜると、先生から教わった動きがわからなくなりそうです。自分のお稽古では一つずつ確かめ、ほかの流派のことは、また別の学びとして受け取ればよいのでしょう。

秋分の一服なら、風炉のそばの小さな蓋置にも目を留めたいです。知っている形なら親しみがわき、違う形なら、使う理由を伺う楽しみがあります。

私も、自分の習ったお茶を大切にしながら、違う扱いに出会った時には、もう少しゆっくり見せていただこうと思います。

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

目次