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薄茶と濃茶の違いとは

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薄茶と濃茶の違いとは。抹茶の量と点て方が違います

薄茶(うすちゃ)と濃茶(こいちゃ)の大きな違いは、使う抹茶とお湯の量、それから茶筅(ちゃせん)の動かし方です。薄茶はお湯を多めにして、さらりと飲めるように点てます。濃茶は抹茶を多く使い、少ないお湯でとろりと練ります。同じ抹茶でも、口に含んだときの感じはずいぶん違うのです。

お稽古仲間のAさんからも、この違いを聞かれたことがありました。長く続けていると、自分では当たり前になってしまって、いざ言葉にしようとすると難しいですね。「点てる」と「練る」。この言葉の違いを知ると、できあがったお茶の姿も思い浮かべやすいのではないでしょうか。

一人分の目安は、薄茶なら抹茶約二グラムにお湯六十mlほど。濃茶は抹茶約四グラムに、薄茶より少ないお湯を使います。これは決まった分量ではなく、一般に言われる目安です。流儀やお茶の持ち味、何人分を用意するかによっても加減します。濃茶は、薄茶に使うお湯だけを減らせばよいというものでもありません。抹茶の選び方も大切になります。

さらりとした薄茶、とろりとした濃茶

お茶会やお稽古で出会う機会が多いのは薄茶でしょう。茶碗に抹茶を入れ、お湯を注いで茶筅で点てます。泡のあるお茶を思い浮かべる方も多いと思いますが、泡の立て方は流儀によって違います。私が続けている表千家では、表面すべてを細かな泡で覆う点て方ではありません。泡の多さだけで薄茶かどうかを見分けるわけではないのですね。

薄茶は飲み口が軽く、お菓子を先にいただいてからの一服も楽しみです。私が最初にお稽古でいただいたのも薄茶でした。そのときの、香ばしくておいしいと思った感覚は今も覚えています。「薄い」という名前でも、味や香りが乏しいということではありません。さらりとした中にも、そのお茶のよさがあります。

濃茶は泡を立てずに練るので、深い緑色で、とろりとした口当たりになります。初めてなら、その濃さに驚いたり、苦いと感じたりするかもしれません。私も若い頃は少し苦手でした。それが続けるうちに、濃さの中にある香りも好きになってきました。濃茶に向いた抹茶で練ると、苦みだけではない甘みやうまみが感じられます。急いで飲まずに味わいたいお茶です。

濃茶に使う抹茶と、道具の選び方

濃茶には、濃く練っても渋みや苦みが強く出すぎず、うまみのある抹茶を選びます。一般には薄茶用より上の等級として扱われるものが多いですが、「高ければよい」とだけ考えると迷いますね。買うときには濃茶用と案内されているかを見たり、お茶屋さんに濃茶に使いたいと伝えたりすると選びやすいと思います。薄茶用の抹茶を多く入れても、同じ味になるとは限りません。

抹茶を入れる道具にも違いがあります。薄茶でよく使うのが、棗(なつめ)という薄茶器です。棗の実に似た形から名がついたとされ、塗りのものが多くあります。漆の艶はきれいですね。ただ、薄茶器は棗だけではありません。道具の名前を覚えるときには、棗は薄茶器の一つと覚えておくとよいでしょう。

濃茶には、陶磁器の茶入れを用いるのが代表的です。仕覆(しふく)という袋に包まれ、茶入れと袋の取り合わせにも目が向きます。名のある作家の品もあり、お席で大切に拝見する道具です。師匠である義母からは、道具は気持ちを映す鏡だと言われたことがありました。改まった扱いには違いがあっても、薄茶器なら気軽に扱ってよいということではありません。どちらも心を込めて扱いたいと思います。

濃茶を練るときに気をつけていること

濃茶を上手に練るのは、長年続けていても難しいです。私が気をつけているのは、お湯を入れる前の準備です。抹茶はあらかじめふるっておきます。粉の固まりが残っていると、練ったあとにもだまができやすくなります。薄茶でも大切なことですが、お湯の少ない濃茶では、特にこのひと手間を省かないようにします。

お湯は二度に分けて入れます。一度目は少なめに注ぎ、茶筅でゆっくりと、抹茶とお湯をなじませるように練ります。薄茶のように勢いよく泡立てるのではありません。粉の残るところがないか、だまになっていないかを見ながら練っていきます。ここで十分になじんでいないと、あとからお湯を足しても、なめらかに調えるのが難しくなります。

全体がなじんで固さの見当がついたら、二度目のお湯を足してとろみを調えます。「たっぷりとした練り上がり」と言いますが、とろとろと流れるくらいが目安です。固いままでも飲みにくく、お湯を入れすぎると濃茶らしい口当たりがなくなります。決まった量だけを頼りにせず、茶筅に伝わる重さやお茶の流れ方も見て加減する。その加減が中々難しいのです。

これは私が気をつけている練り方です。お湯の扱いや茶筅の動かし方など、細かなところは流儀や教え方によって違います。お稽古をなさっている方は、先生の教えを優先してください。うまく練れないときも、抹茶の量、お湯の量、最初の練り具合を確かめると、どこを直したらよいか考えやすくなると思います。

飲み方と、茶事での役割にも違いがあります

薄茶は基本的に一人一碗ずついただきます。濃茶には、一碗に数人分を練り、同じ茶碗のお茶を順にいただく飲み方があります。ただし、濃茶も一人ずつ別の茶碗で出される場合があります。「濃茶なら必ず回し飲み」と思わず、そのお席の案内に従えばよいでしょう。初めてでわからないことがあれば、遠慮せずに尋ねてよいと思います。

同じ茶碗のお茶をいただくと、その席の方々とのつながりが深まるような気がします。濃茶のお席には、しんとした静けさもありますね。茶事(ちゃじ)という正式なお茶の集まりでは、濃茶が中心となり、基本的には濃茶のあとに薄茶をいただきます。懐石や炭の準備も、おいしい濃茶を差し上げるためにつながっている。「濃茶一服のために」と言われるのは、そのためです。

濃茶のほうが格が高いと言われるのは、こうした茶事での位置づけによります。私は、どちらが偉いという気持ちで飲んだことはありません。薄茶にはやさしさがあり、濃茶には深さがある。どちらも好きです。四十五年以上続けても濃茶のお稽古には少し緊張して、背筋が伸びます。その緊張も心地よいものです。

よくある質問

濃茶は、薄茶より苦いのですか? 味が濃いため、苦みを強く感じる方もいます。ただ、濃茶に向いた抹茶には甘みやうまみもあります。濃さと苦さは同じではなく、使う抹茶や練り具合によっても印象が変わります。

薄茶も濃茶も、お菓子は先に食べますか? 基本はお茶をいただく前です。濃茶には主菓子、薄茶には干菓子を合わせることが多いですが、お席によって異なります。お菓子が出たらすぐ食べるのではなく、すすめられたところでいただくと安心です。

茶道を習っていなくても濃茶を飲めますか? 初めての方でもいただけます。濃茶のあるお茶会などで、初めてであることを伝えておくと、飲み方も教わりやすいでしょう。無理に知っているふりをしなくてよいと思います。

まとめ

薄茶は少なめの抹茶を多めのお湯で点て、濃茶は多めの抹茶を少ないお湯で練ります。その違いが、さらりとした飲み口と、とろりとした口当たりになります。使う抹茶や道具、いただき方にも違いはありますが、どちらもおいしい一服を差し上げたいという気持ちは同じなのですね。

薄茶だけを召し上がってきた方は、機会のあるときに濃茶を一度味わってみてください。苦みだけでなく、口に残る香りやうまみにも気づくかもしれません。私も右ひざの具合に合わせながら、焦らずお稽古を続けていこうと思います。

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