お茶を始めたばかりの頃、お稽古でひとつ戸惑ったことがありました。
「結構なお点前でございました」という言葉です。
先輩方がさらりとおっしゃるのを聞いて、「これはどういう意味なんだろう?」とずっと気になっていました。「結構」というのは普段「いりません」という意味で使いますよね。でもお茶の席では少し違うようで、なんだか不思議でした。
「結構」という言葉の意味
お茶の世界での「結構」は、「素晴らしい」「申し分ない」という意味です。
日常会話で「結構です」というと断りの言葉になることが多いですが、茶道では褒め言葉として使われています。「結構なお点前」とは、「すばらしいお点前でした」ということですね。
師匠から「結構という言葉は本来よい意味なんですよ」と聞いて、なるほどと思ったことを覚えています。「よくできている」「申し分ない出来栄え」という意味が元々あるそうです。なんとなく使っていた言葉に、ちゃんと意味があるんだと、そのときはっとしました。
どんな場面で使う?
お客様としてお茶をいただいた後、点前をしてくださった方に向けてお伝えする言葉です。
一般的には、お茶を飲み終えて、拝見(道具を見せていただくこと)が一段落した頃、あるいは席を立つ前にお伝えします。「お服加減はいかがでしょうか」とお声がけいただいたときに、「結構なお点前でございました」とお答えすることもあります。
初心者の方から「どのタイミングで言えばいいのかわからない」とよく聞かれます。私もそうでした。お茶を飲み終えた直後より、少し間を置いて、席が落ち着いたところでお伝えするのが自然な流れかもしれません。
誰に向かって言うの?
お点前をしてくださった方、つまり亭主(ていしゅ)や、お茶を点ててくださった方に向けてお伝えします。
お茶会では亭主と半東(はんとう)という役割があって、どちらにお伝えするか迷うこともあります。場の雰囲気に合わせてということもありますが、私はお点前をしてくださった亭主の方にお伝えするようにしています。
お稽古では先生や先輩がお点前をされることが多いので、お稽古後に「結構なお点前でございました」とお伝えしていました。最初は恥ずかしくてなかなか言えなかったのですが、続けていると自然に言えるようになりました。
どんな言い方をすればいい?
「結構なお点前でございました」が一般的です。「お点前頂戴いたしました」ともいいます。
「でございました」は少し改まった言い方で、お茶会などの正式な場ではこちらが使われることが多いです。お稽古では「結構なお点前でした」と少しくだけた言い方でも大丈夫なこともあります。ただ、これも先生のお考えによりますので、お稽古場のしきたりに合わせるのがいちばんだと思います。
以前、先生に確認したところ「心を込めてお伝えすることが大切ですよ」とおっしゃっていました。言葉の形よりも、感謝の気持ちが伝わることが大事なんだと、そのとき感じました。
今もまだ気になることがあります
45年お稽古を続けていますが、言葉の使い方は今もなお気になることがあります。
「結構なお点前で」も、流派によって細かい言い回しが違うこともあるかもしれません。表千家のお稽古でもいろいろな場を経験してきましたが、まだわからないことも多いです。次の機会に先生に聞いてみようと思っています。
お点前の流れそのものが気になる方は、こちらの記事もよろしければ読んでみてください。
茶道のお辞儀や挨拶の言葉も、最初はなかなか覚えられないものです。こちらもよかったら参考にしてみてください。
少しずつ、一つひとつ覚えていけたらいいですね。またお稽古で使ってみようと思います。

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