先日のお稽古で、一緒に通っている仲間から聞かれました。
「茶花って、どんな花を選べばいいの? お稽古に持っていくとき、いつも迷ってしまって」
そうですよね。私も最初の頃は、ずいぶん迷いました。お花屋さんに行っても、どれを選んだらいいのか見当がつかなくて。
今日は、茶花についてすこし書いてみようと思います。
「野の花を野にあるように」ということ
茶花の基本は、千利休の言葉に尽きると私は思っています。
「野の花を野にあるように」。
生けるというより、自然にそこに咲いているように、という考え方です。
お花を習ったことのある方は、華道(生け花)のことを思い浮かべるかもしれません。でも茶花は少し違って、「整えすぎない」ところが大切なんですね。きれいに形を作りすぎた花、豪華に飾りすぎた花は、お茶席には似合わないのです。
師匠(義母)が、よく言っていました。「あまり手をかけすぎると、花が怖くなる」と。
最初に聞いたときは、どういう意味だろうと首をかしげていました。でも今は、すこしわかる気がします。手をかけすぎると、花が花でなくなってしまう。野にあるままの姿に、その季節が宿っているんですよね。
香り・色・咲き具合、選ぶときの目安
茶花を選ぶとき、いくつか気をつけることがあります。
まず、香りの強い花は避けること。お茶の席では、お茶の香りを大切にします。バラや百合のような甘くて強い香りの花は、それだけでお茶の存在感を消してしまいます。茶花は、あくまでお茶を引き立てる存在です。
次に、派手すぎない花を選ぶこと。色も形も、お茶席の主役はお茶と道具と掛け軸。花は脇役なんですね。
そして、蕾や八分咲きのものが好まれます。満開の花は、もう終わりへ向かっている。蕾や半開きの花には、これから咲くという生命力があります。その「咲く途中」がお茶の世界に合うのかもしれません。
今の季節(八月)でしたら、木槿(むくげ)や桔梗(ききょう)、萩(はぎ)などが茶花らしい花です。どれも素朴で、野原に咲いていそうな雰囲気があります。木槿は朝に咲いて夕方にはしぼんでしまうのですが、その一日の命みたいなところが、お茶の「一期一会」の心と重なる気がして、私は好きです。
花入れとの組み合わせが難しくて
花を選ぶのと同じくらい大切なのが、花を入れる器、「花入れ(はないれ)」です。
夏には吊り花入れ(つり花いれ)がよく使われます。天井から吊るすもので、涼しげな雰囲気があります。竹の花入れや、素朴な焼き物の筒花入れなど、種類もさまざまです。
どの花入れにどの花を合わせるか、これが私にはまだ難しくて。毎回「この組み合わせで合ってるのかな」と自信のないまま持っていくことも、正直あります。
道具と道具の組み合わせ、お菓子と季節の合わせ方と同じで、お茶の世界は「組み合わせの妙」がどこまでも深くて、勉強が尽きません。
庭の花を摘んで、稽古に持っていく朝
最近は膝の具合があって、庭をあちこち歩き回るのはなかなか難しいのですが、玄関のそばに椿と萩を植えてありますので、お稽古の日の朝に少し摘んで持っていくことがあります。
買ってきた花よりも、庭に咲いた花のほうが、なんとなく「野にある」感じがして。
師匠もきっと喜んでくださるような気がするのです。
茶花のことは、まだまだ知らないことがたくさんあります。季節ごとにどんな花が向いているか、もう少し調べてみようと思っています。花のことを考えると、次のお稽古がもう少し楽しみになります。

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