夏至が過ぎました。一年でいちばん昼の長い日です。
お茶を続けていると、こうした暦の節目に敏感になります。今日は夏至と茶の湯のことを書いてみます。
二十四節気とお茶
夏至は二十四節気のひとつです。立春に始まり、雨水、啓蟄と続いて、一年を二十四に分けた昔の暦。お茶の世界では、この二十四節気が今も生きています。
お茶のお稽古では「今は何の節気かしら」と自然に意識するようになります。掛け軸、茶花、お菓子、道具の取り合わせ。すべて季節に合わせて選ぶからです。
カレンダーの数字だけでは気づかない季節の移ろいを、暦の言葉が教えてくれます。
夏至のころの茶室の設え
夏至のころは、梅雨の真っ最中でもあります。設えは涼しさを意識したものになります。
水指は義父の残した染付を使ったり、平茶碗を出したり。掛け軸は「瀧」や「白雲」など、見た目にも涼しい言葉を選びます。
この時期の茶花なら、夏椿、桔梗、京鹿子。夕方には萎む一日花が多く、朝入れた花が稽古の終わりには少しくたびれている。その儚さも、この季節の茶室の味わいです。
昼が長いということ
夏至の日、夕方のお稽古を終えて外に出ても、まだ空が明るいのです。冬なら真っ暗な時間なのに。
「日が長くなったねえ」とお仲間と言い合いながら帰る道も、季節の楽しみのひとつです。そしてこの日を境に、少しずつ日が短くなっていく。夏の盛りはこれからなのに、暦はもう冬へ向かい始めている。
義母が言っていました。「季節は先取り。暦は正直」と。お茶の設えは季節を少し先取りするものですが、暦を知らないと先取りもできません。
暮らしの中に節目を持つ
現代の暮らしは、季節がなくても回っていきます。冷暖房があり、野菜は一年中あり、夜も明るい。便利なことです。
でもだからこそ、夏至や冬至のような節目を意識すると、暮らしに句読点が打てる気がします。
夏至の日に、少し丁寧にお茶を一服。それだけで、今年の夏の始まりが特別なものになりますよ。

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