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野点体験ってどんなもの?初秋の屋外でお茶をいただく前に知っておきたいこと

野点という言葉は、外でお茶を点てることだとわかっても、実際に体験するとなると、何を着ていけばよいのか、どんな道具が出てくるのか、お茶室での作法を全部知らないと失礼になるのかしらと、次々に気になってきます。

私がお茶を始めた頃も、野点の場は何となく特別に見えていました。屋外でお点前をしている姿は、普段の稽古場とずいぶん違って見えます。

「野点体験」と検索している方には、まずここをお伝えしたいのです。野点体験は、お茶室での格式張った作法を全部知らなくても楽しめる場が多いです。

目次

野点体験とは

野点は「のだて」と読みます。屋外でお茶を点てて楽しむことです。「野」は野外や野原を表し、「点」はお茶を点てることを指します。

野外といっても、広い草原でするとは限りません。庭園や神社仏閣の境内、お城の外庭、川沿いの公園など、自然や歴史のある場所で催されることが多いです。紅葉や桜の頃、月見の季節など、景色のよい時期に合わせて開かれます。

茶道では、茶室という囲まれた空間でのお茶が基本になります。野点はその外へ出て、自然の中で一服をいただく楽しみ方なのですね。

お菓子をいただいてから、点て立てのお抹茶を受け取る。流れはお茶室の薄茶席と大きく変わりませんが、頭上には空があり、風が吹き、虫の声が聞こえる中でいただくお茶は、屋内とは少し違う気持ちになります。

野点体験では何をするのでしょう

野点体験の内容は、催し物によって違います。主催者がお茶を用意してくださり、客はいただくだけの形もあれば、自分で茶筅を持ってお茶を点てる練習まで含む体験もあります。茶筅は「ちゃせん」と読み、竹を細く割った穂でお茶と湯を混ぜる道具のことです。

よく見られる流れは、次のようなものです。

  • 受付を済ませ、用意された席につく
  • 季節の菓子をいただく
  • 点て立てのお茶を受け取り、いただく
  • 道具を眺めたり、間近で見せていただいたりする

「体験」と書かれていても、自分でお茶を点てるところまで含むかは、あらかじめ案内を確かめておくとよいですね。

私が長くお茶を続けてきて気になるのは、初めての方が「野点体験」と聞いて、格式の高い場だと想像してしまうことです。庭園の野点は、薄茶を気軽に楽しんでいただくための催しとして開かれることが多く、作法を全部覚えていなくても大丈夫ですと案内してくださるところもあります。

少し覚えておきたいのが、野点籠(のだてかご)という道具です。野外へ持ち出せるように、茶碗や茶筅、棗などを一式まとめた籠のことです。棗は「なつめ」と読み、薄茶を入れておく茶器です。持ち運びしやすく、蓋や仕切りが工夫されているものが多い。野点を催す側が用意しますので、体験する側が準備することはありませんが、一つ名前を知っておくと、道具を見る楽しみが増えます。

野点の道具の見どころ

野点では、お茶室のお点前で使う道具より、持ち運びしやすいものが選ばれます。

茶碗は軽いものや、割れにくい素材のものが使われることがあります。棗も、野点用の籠に合わせた小ぶりなものを見かけます。湯を沸かすための炭や風炉も、屋外向けに工夫された道具があります。外では風の具合を考えながら湯を保つ難しさもあるのでしょう。そのあたりは、亭主側の見えないご苦労だと思います。

道具の名前がわからなくても、眺めるだけで楽しいものです。何に使うのかしら、これは何という名前でしょう、と思いながら見るのが、お茶の楽しみの一つでもあります。

秋分の頃の野点はどんな雰囲気でしょう

秋分を過ぎると、日差しがやわらかくなり、虫の音がよく聞こえてきます。庭園や神社境内での野点は、この時季が特に好まれます。

お茶の世界では、月見の頃に野点を催すこともあります。月を眺めながら、あるいは日暮れ前の光の中で一服いただく。夏の暑さが和らいだこの時期、外でお茶をいただく心地よさは格別でしょう。萩が揺れる野点、紅葉手前の緑の中での野点。景色によって、同じ野点でも見え方が変わります。

秋分の頃は、まだ風炉(ふろ)の季節です。風炉は炭火を入れて湯を沸かす道具で、五月から十月に使います。野点でも、この時期なら風炉が置かれます。十一月になると炉に変わります。野点の場で風炉を目にしたら、まだ夏の道具が働いているのだと思うかもしれません。

野点体験の服装は何がよいでしょう

着物でなければならないということはありませんが、日本の景色の中で一服いただく場ですから、それなりの服装が合うでしょう。

洋服なら、膝の出にくい服と白い靴下があるとよいですね。野点では、敷物(毛氈など)に直接座ることもあります。白い靴下は、清潔に足元を整えるためのもので、お茶の席での基本的な支度です。

腕時計や指輪は、道具に触れる前に外しておきます。香水などの強い香りも控えたいですね。お茶の香りを一緒に感じる場ですから。

着物でご参加の場合は、野外では裾が汚れることもあります。気候や地面の具合も考えて、当日の格好を決めるとよいと思います。

野点のいただき方で迷うこと

野点では、お茶が出る前にお菓子をいただきます。季節にちなんだお菓子が用意されることが多く、秋分の頃なら萩や月をかたどったものを見かけることがあります。懐紙(かいし)がある場合は、その上にのせていただきます。懐紙はたたんだ和紙のことで、お茶の席の小道具の一つです。

お茶が出たら、一言挨拶をしてから受け取ります。茶碗の正面を避けて飲む、という気持ちで少し回してからいただくのがよいとされますが、体験の場では案内の方が教えてくださることが多いです。

飲み終えたら、飲み口を拭いて戻す扱いがあります。どのように返せばよいか迷ったら、その場の方に尋ねて構いません。知らないことを確かめながら進むのが、初めての方には一番自然だと思います。

正座が長く続かない方は、敷物に座る野点であれば、途中で足を楽にしてよいかを最初に確かめておくとよいですね。体験の場ほど、無理なく楽しめる席であってほしいと思います。

茶室とは少し違う、野点の開放感

茶室での薄茶の席と、野外での野点は、道具の格や場の雰囲気が変わります。室内のお点前では、細かな所作や道具の取り合わせにも気を配ります。野点は、それをいくらか解き放ったような場です。

外の光の中でいただくお茶は、茶碗の色も違って見えます。お茶の緑が、室内よりも鮮やかに感じることがあります。そういう小さなことに気づくのも、野点の楽しさではないかと思います。

茶道を長く続けていると、茶室での作法に慣れすぎて、外の風や光を忘れがちになります。野点体験で初めてお茶に触れる方の方が、虫の音や空の色まで一緒に受け取ることができるかもしれませんね。

野点体験を探す時に見ておくこと

野点体験は、庭園、神社仏閣、文化施設などが催し物として開いていることがあります。秋は特に多い時期です。案内を見る時は、次のようなところを確かめておくとよいと思います。

  • 予約が必要か、当日参加できるか
  • 参加費と、含まれるもの(お菓子や道具の貸出など)
  • 服装の指定があるか、洋服でよいか
  • 雨天時はどうなるか

野外の催しは、天候によって中止や変更になることがあります。空模様が気になる日には、あらかじめ主催者に確かめておくと安心です。

受付で「初めて参加します」と伝えておくのも一つの方法です。初心者向けに声をかけてくれる会もありますし、何をどうすれば迷わずに済むかを教えていただきやすくなります。

野点体験を楽しむために

正式なお点前を全部覚えなくても、野点体験の場ではお茶をいただく楽しみは十分に味わえます。

わからないことがあれば尋ねる。作法に自信がなくても、気持ちを向けてくださる方のお茶をいただく。それがお茶との最初の出会いになることも多いものです。

秋分の頃の野点体験は、虫の音と、やわらかくなった日差しを一緒にいただける機会です。茶碗一つに、季節と景色と一服のお茶が入っている。初めての方にこそ、そういう出会いがあればうれしいと、長く続けてきた私には思えます。

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