茶道の流派の違いとは。お点前や道具に受け継がれた違いです
茶道の流派の違いは、受け継いできた教えや、お点前の手順、道具の選び方、扱い方などに表れます。流派は「りゅうは」と読み、教えや技法を伝えてきた系統のことです。よく知られる表千家・裏千家・武者小路千家は、いずれも千利休の茶の湯を受け継いでいます。違いはあっても、お客様へ心を込めて一服差し上げるところは共通しています。
目に見えてわかりやすいのは、薄茶の泡でしょう。薄茶は、抹茶に湯を加え、茶筅(ちゃせん)で点てるお茶です。裏千家では表面に細かな泡を立て、表千家と武者小路千家では比較的控えめに点てます。ただ、表千家も全く泡を立てないわけではありません。泡の量でお茶のよしあしが決まるものでもなく、写真だけで流派を見分けるのは難しいです。
帛紗のさばき方、道具を清める順序、柄杓の扱い、客としての挨拶にも違いがあります。帛紗は「ふくさ」と読み、茶器や茶杓を清める布です。私は表千家を45年以上続けていますが、慣れた扱いが作法の全部だと思わないようにしたいです。違う動きを見たら、道具を清めているところか、お茶を点てているところか。その役目から見ると、手の運びもわかりやすくなると思います。
三千家は、同じ利休の茶から分かれた三つの家
三千家は「さんせんけ」と読みます。表千家(おもてせんけ)の茶室は不審菴(ふしんあん)、裏千家(うらせんけ)は今日庵(こんにちあん)、武者小路千家(むしゃこうじせんけ)は官休庵(かんきゅうあん)です。名前が沢山出てくると読む手が止まりそうですが、初めから全部覚えなくてもよいでしょう。
三つの家へつながるのは、利休の孫にあたる千宗旦(せんのそうたん)の息子たちです。次男の宗守が武者小路千家、三男の宗左が表千家、四男の宗室が裏千家へと続きます。利休から見ると、ひ孫の代ですね。「宗旦には息子が三人いて、長男から順に分かれた」という説明では正確ではありません。それぞれの家が教えを受け継ぎ、代を重ねて今に続いています。
表と裏の呼び名は、茶室の位置関係に由来します。表が正式で裏が略式、という意味ではありません。武者小路千家の名は、所在地の武者小路通にちなみます。また、茶道には遠州流、石州流、宗徧流などもあります。三千家はよく知られていますが、この三つだけが茶道の流派ではないのですね。
表千家・裏千家・武者小路千家、それぞれの特徴
表千家には、受け継いだ形を大切にする、落ち着いた印象があります。泡を控えた薄茶も、その印象につながるのでしょう。私には親しみのあるお茶です。ただ、「表千家だけが古い形を守っている」「利休の時代と同じ所作である」とまでは言えません。ほかの流派も、それぞれに伝統を大事にしています。飾らない美しさという言葉も、流派を決めつけるより、私なりの受け取り方としてお伝えしたいです。
裏千家は、きめ細かな泡を立てる薄茶が特徴の一つです。国内だけでなく海外にも活動が広がり、習う場所を探す時に身近で見つかる地域もあるでしょう。泡の表情から華やかに感じる方もいると思いますが、見た目だけでお茶の考え方まで分けてしまうのは早いですね。実際にいただいたり、お点前を見せていただいたりして感じることもあると思います。
武者小路千家は、無駄を省いた、すっきりした合理的な所作が特徴として紹介されます。三千家の中では規模が小さく、地域によっては近くの教室を探すところからになるでしょう。ただ、合理的だから初心者には必ず簡単、ということでもありません。私はほかの流派のお点前まで同じように教えられるわけではありませんので、細かな手順は、その流儀の先生に教わることが大切だと思います。
秋分の竹の蓋置は、流派だけでなく季節も見ます
道具の形が違うと、これも流派の違いかしらと思うかもしれません。けれど、同じ流派でも季節やお点前によって使う道具は変わります。秋分の頃は、一般にはまだ風炉(ふろ)の季節です。風炉は炭火を入れ、釜を掛けて湯を沸かす道具。そのお点前で使う小さな道具に、竹の蓋置があります。
蓋置は「ふたおき」と読み、外した釜の蓋や、柄杓の合を受けるものです。合は「ごう」。湯や水をすくう先の部分ですね。竹の蓋置には、節が上端にある風炉用の「天節(てんぶし)」があり、炉用とは節の位置が異なります。秋らしい絵の道具へ目が向く頃ですが、竹の節にも使う時季とのつながりがあります。
竹だから夏だけの道具、と覚えるのでは少し足りません。棚を使うかどうか、お点前が何かによっても選び方が関わりますので、支度は習っている扱いに合わせます。私には、こういう小さな道具のほうが説明しにくいです。短く切った竹のように見えても、見ておくところがある。違う蓋置に出会った時も、流派の差と決める前に、季節とお点前を確かめたいと思います。
習う流派は、通える教室と先生との相性から
表千家に親しみのある私でも、初めての方に必ず表千家がよいとは言えません。泡の立った薄茶を飲んでみたい、身近な人と同じ流派を習いたい。そんなきっかけでよいと思います。お客様をもてなし、季節を感じ、一服の時間を大切にする心は共通しています。続けるうちに、自分が好きなところも少しずつ見えてくるのではないでしょうか。
見学や体験では、先生に尋ねやすいか、教室の雰囲気が合うかを見てください。基本から教えていただけるか、稽古の回数や時間が暮らしに合うかも大事です。座り方など身体に合わせた相談ができるかも、遠慮せず確かめてよいと思います。流派の名前が同じでも、教室ごとにお稽古の進め方は違います。
費用は月謝だけでなく、入門時の道具代、茶会への参加費、許状を願う場合の費用なども聞いておくと安心です。月謝は流派ごとに一律ではありません。見かける金額も一般に言われる目安として受け取り、希望する教室で、何が含まれ、別に何が必要かを確かめてください。裏千家には公式の「全国稽古場検索」もあり、習える場所を探す手がかりになります。
帛紗や扇子などを買うのは、入門先が決まってからでも間に合います。流儀による違いがありますから、必要なものを先生に聞いて選ぶほうが無駄になりません。持っている道具は、買い直す前に見ていただきましょう。体験では、お点前が道具を整え、清め、お茶を点てて差し上げ、片づけるまでの一連の営みであることにも目を向けると、習う姿を思い描きやすいですね。
ほかの流派のお茶をいただく時に大切なこと
違う流派のお席では、自分が習った手順で相手のお点前を採点するようには見たくないものです。初めてなら、その流儀の作法に詳しくないことを伝え、わからないところを尋ねればよいと思います。客の扱いについて案内があれば、その席に合わせます。
違いを全部覚えてからでなければお茶をいただけない、ということではありません。知っている形には親しみがわき、違う形なら使う理由を伺う楽しみもあります。お客様へ一服を差し上げようとしている、その気持ちを受け取りたいですね。
自分のお稽古では、本や動画がどの流派の説明なのかを確かめてください。別々の手順を知らずに混ぜると、先生に教わった動きがわからなくなりそうです。手順の説明は参考にしながら、習っている先生の教えを優先する。ほかの流派の扱いは別の学びとして受け取ると、慌てずにすむと思います。
よくある質問
表千家と裏千家は、どちらが初心者向きですか? 流派の名前だけでは決められません。基本から学べて、質問しやすく、無理なく通える教室かどうかを大切にしてください。
薄茶の泡が多いほうがおいしいのでしょうか? 泡の量だけでは決まりません。お茶の量や湯加減、飲む方の好みも関わります。流派の優劣と結びつけず、違いを味わってみるとよいと思います。
正座が難しくても習えますか? 椅子を使う稽古などに対応する教室もあります。対応は教室によって違いますので、見学を申し込む時に身体の事情を伝え、相談してください。
まとめ
茶道の流派の違いは、泡の立て方だけでなく、お点前や道具の扱いにもあります。道具の違いには季節やお点前も関わりますから、見える形だけで決めつけないようにしたいです。私も自分の習ったお茶を大切にしながら、違う扱いに出会った時には、ゆっくり見せていただこうと思います。
これから習う方は、通えそうな教室を一つ選んで、見学を申し込んでみてください。流派の名前を覚えるところから、一服のお茶を身近に感じるところへつながれば、うれしいです。

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