先日のお稽古で、新しく来られた方が「茶碗はどうやって持つんですか」と聞かれました。
そうですよね。はじめて茶席に入ると、茶碗の扱いだけで頭がいっぱいになるものです。
私も最初のころ、「なぜ回すの?」「どっちに回すの?」と、なかなか自信が持てませんでした。
今日は、茶碗の持ち方と向け方について、私の覚え書きとして書いておこうと思います。あくまで参考に。先生の教えを優先してくださいね。
なぜ茶碗を回して飲むのか
茶碗をいただく前に、二度か三度、時計回りに回しますね。
あれは、茶碗の「正面」を避けて飲むためです。
茶碗には、最も美しい景色がある「正面」があります。亭主がそちらを客のほうへ向けて出してくださる。だから、そのまま口をつけてしまうのは、ちょっともったいない、というか、失礼に当たると考えられているんですね。
師匠からは「あの方が大切にしておられる茶碗の、一番よいところに、いきなり口をつけますか」と言われたことがあります。
そう言われると、すっと腑に落ちました。相手への敬意、道具への敬意。それが「回して飲む」という所作に込められているんだと思います。
持ち方のこと
茶碗は両手でいただきます。
右手を添えて左の掌に乗せ、右の手で支えながら持ちます。高台(こうだい)と呼ばれる茶碗の底の輪の部分には、指を掛けてはいけません。
これも最初はぎこちなかったです。つい高台に指がいってしまって、先生に「そこじゃないですよ」と何度言われたか。
高台は大切な部分なので、大切に扱うという意味合いがあるようです。なんとなく理屈はわかっても、体が覚えるまでには時間がかかりますね。
それから、茶碗を持つ高さも大事で、あまり高く掲げすぎず、お腹のあたりで持つのが自然に見えると教わりました。
飲み終わったら、正面を戻す
お茶を飲み終わったら、今度は逆に回して、正面をもとの向きに戻します。
「回して飲んだんだから、戻してあげる」という感じで、私は覚えるようにしました。
そのあと、茶碗の縁を懐紙でそっと拭きます。これを「拭き口」と言います。縁全体を拭くのではなく、口をつけた部分だけでいいと聞きました。最初は「どこまで拭けばいいんだろう」とそれだけで慌てましたが、今はだいぶ自然にできるようになりました。
飲み終わった茶碗は右手で畳の上に静かに置き、正面を見るようにします。茶碗の正面が見えるように置いて、しばしその景色を楽しむ。
慌てずに、ゆっくり。それがお茶の席らしい時間なんだと思います。
季節によって茶碗も変わる
ちょっと余談ですが、今は風炉の時季です。夏場の茶席では、涼しさを感じさせる薄手の茶碗や青系のものが使われることが多い気がします。
冬になると炉が出て、ぽってりとした厚手の茶碗が温かく感じられる。お茶って、道具だけでも季節が伝わってくるんですね。
手に取った茶碗がどんな季節を意識して選ばれたのか、そういうことを想像しながらいただくと、またひと味違う気がします。
持ち方や作法のことは、お稽古を重ねるうちに少しずつ体に染みついていくものだと思っています。焦らず、一つひとつ確かめながら続けていきたいものですね。

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