茶碗を選ぶのは、お茶のいちばんの楽しみかもしれません。
「最初の茶碗はどう選べばいいですか?」とよく聞かれます。今日は茶碗選びのことを、私の経験から書いてみます。
茶碗にも夏と冬があります
ご存じない方も多いのですが、抹茶茶碗には季節があります。
夏の茶碗は、口が広く開いた浅い形。「平茶碗」と呼ばれます。お茶が早く冷めるようにという心配りです。見た目にも涼しげですね。
冬の茶碗は、口がすぼまった深い筒形。「筒茶碗」です。お茶が冷めにくく、両手で包むと手まで温まります。
春秋は、その中間のふつうの形。同じお茶でも、茶碗の形ひとつで季節のおもてなしになるのです。
焼き物の種類、少しだけ
茶碗の焼き物には、楽焼、萩焼、唐津焼、志野、織部などいろいろあります。「一楽二萩三唐津」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。茶人が好む茶碗の格付けとして昔から言われてきた言葉です。
楽焼は手びねりで作られる柔らかい風合いの茶碗で、千利休さんの思いを受けて生まれたものだそうです。萩焼は使ううちに色が変わっていき、「萩の七化け」と呼ばれます。
私は九州に住んでいますので、唐津や高取など地元の焼き物にも愛着があります。
最初の一碗はどう選ぶ?
お稽古用なら、五千円前後の楽茶碗形のものから始める方が多いです。決まりごとから言えば楽茶碗が扱いの基本になりますから。
でも私が一番大切だと思うのは、「手に取って、しっくりくるかどうか」です。
茶碗は手で持ち、口をつけ、膝の上で拝見する道具です。目で見るだけでなく、必ず手に取らせてもらってください。重さ、手ざわり、口当たり。相性は手が教えてくれます。
茶碗との出会いも一期一会
私も長年のあいだに、いくつかの茶碗と出会ってきました。旅先の窯元で求めたもの、義母から譲られたもの。
不思議なもので、茶碗にはそれぞれ思い出が宿ります。この茶碗はあの茶会で使った、これはあの人と選んだ、と。
道具屋さんや窯元をのぞいて、「あ、これ」と手が伸びる一碗に出会う。そんな出会いを、ぜひ楽しみにしていてください。

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