10月はお茶の世界では、名残りと呼ばれています。昨年の開炉の時から使い始めた茶壷の茶も残り少なくなり、茶の名残りが惜しまれるからです。
風炉から炉に移る少し前の10月すえごろ行なう茶事を「名残りの茶事」といいます
今頃は、茶壷の茶葉を臼で引く事も無く、初夏にはすぐに新茶が店頭にならぶので、
名残りの言葉は実感しがたいものです。しかし、秋深くなると何となく心寂しくなってきます。
取り合わせる道具は、丸く押さえられた灰に掻上げとよぶ縦の筋を入れた「鉄の前欠き風炉」や、「やつれ風炉」を中央に据えています。
すべてに渋みをただよわせ、花は、残花や返り花などをまじえ秋草をいけています。
少々ひび割れをつづくった茶碗や、茶入れなどもこの時季は面白いと言われています
昔、10月の末に行なわれた大きな茶会の時、やつれ風炉が据えられており、はじめて「やつれ風炉」を拝見させていただいた私は、鉄風炉の上部が欠けており驚きました。この時の主菓子は、栗きんとんだったことを覚えています。
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