ニュースでちょっと驚くことを読みました。
お茶の値段が上がっている、というのです。
世界的な抹茶ブームの影響で、国内の緑茶・煎茶まで値上がりしているそうで。先日のニュースで知って、思わず「そうなんですね」と声に出してしまいました。
鹿児島の新茶が2年前の2.5倍とは
抹茶の原料になる「てん茶」の需要が急増して、煎茶向けの茶葉生産が減ってしまい、需給が逼迫しているのだそうです。
てん茶というのは、抹茶の原料になる茶葉のことです。お稽古でも習うことがあるのですが、その需要がこれほど急に増えるとは、少し前まで想像もしていませんでした。
2026年の新茶は、鹿児島の茶市場で平均単価が前年比で約1.7倍。2年前と比べると約2.5倍になっているというのです。
2.5倍。それだけ上がっているとは、驚きました。
「おーいお茶」などのペットボトル飲料も値上げになり、スーパーから低価格帯の緑茶が減ってしまう可能性も指摘されているとか。お茶を日常的に飲んでいる方には、ちょっと困った話ですね。
お稽古では毎月ひと缶ほど抹茶を使います。値上がりが続けば、稽古の費用もじわじわと上がってくることになります。お薄一服だけでも、毎日のこととなれば積み重なります。そう思うと、数字がただの数字ではなくなってくるのです。
世界中の人がお抹茶を楽しんでいるのは、嬉しいのですけれど
抹茶が世界中で人気になっていることは、私も前から知っていました。
世界中で抹茶を楽しむ方が増えているというのは、お茶を45年続けてきた者としては、なんだかとてもうれしいことだと思います。
ただ……こうして値段が上がってしまうのは、複雑な気持ちです。
世界中の人が抹茶を楽しんでくれているのは嬉しいけれど、その分だけ国内の煎茶の値段まで上がっていくというのは、なんとも言えない気持ちになりますね。
「お茶って、こういうふうに世の中とつながっているのだなあ」と、改めて感じました。
一服のお茶の値打ち
今年の春先、右ひざを傷めまして。手術も受けて、今はゆっくりと過ごす毎日が続いています。
外出もあまりできませんし、お稽古も思うようにはできていません。
そんな中で、毎日の一服が、とても大切なものに感じられるようになりました。
義母はよく「一服のお茶を丁寧に点てなさい」と言っていました。その時はただ「はい」と答えるだけでしたが、今になってその言葉の重さがわかるような気がします。
義母が稽古場で使っていた抹茶は、毎年決まった宇治の茶問屋から取り寄せていたものでした。「お茶の質は点前に出る」というのが口癖で、道具を選ぶのと同じように、茶葉を選ぶことも大切にしていました。そんな義母のことを思い出すたびに、値上がりは困るけれど、自分のために一椀だけは質のよいものを使い続けたいという気持ちにもなります。
たとえお稽古の場に出られない日でも、自分のために一服点てる。その一杯に、45年のお茶への思いが全部入っているような気がして。
値段が上がっていくのは困ったことですし、手放しに喜べるわけではないのですが、それでも私にとってお茶はやめられないものです。
一服の値打ちを、改めて感じる夏の日になりました。
膝の具合でなかなか動けない今年の夏ですが、毎朝のお茶の時間だけは変わらずに続けています。その一杯がある限り、お稽古への気持ちも続いていくような気がしています。
抹茶ブームがどこまで続くかわかりませんが、国内のお茶農家の方々や生産の現場がどうなっていくのか、これからも気になって見ていきたいと思います。

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