暑い日が続いていますね。
風炉のお稽古の季節です。お湯の温度も、立ち上る蒸気の具合も、冬の炉とはまた少し違う。そんなことを感じながら点前をしていると、ふと気になることが出てきました。
「利休七則」という言葉です。
お茶を続けて45年以上になりますが、正直なところ、ちゃんと説明できるかと言われると、少し自信がありません。師匠(義母)からも折々に言葉で教えていただいていたのですが、七つ全部を声に出して言えるかと思うと、うーん、と首をかしげてしまいます。
気になったので、手元にある本で調べてみました。
利休七則とは、どんなものか
千利休が弟子に伝えたとされる、茶道の心得のことです。
ある本によると、弟子が「茶道とはどういうものですか」と問うたとき、利休はこう答えたそうです。
茶は服のよきように点て、炭は湯の沸くように置き、花は野にあるように生け、夏は涼しく冬は暖かに、刻限は早めに、降らずとも傘の用意、相客に心せよ。
この七つが「利休七則」です。
弟子はこれを聞いて「そのくらいは知っています」と言ったそうです。すると利休は「それができたなら、私はあなたの弟子になりましょう」と返したとか。
知っているのとできているのは、全然違う。そういうことですね。
七つを一つずつ、自分なりに考えてみる
あらためて一つずつ読み返してみると、どれも当たり前のことばかりです。でも、これが難しい。
「茶は服のよきように点て」。お客様が飲みやすい温度、飲みやすい量で、ということでしょうか。自分の作法を見せることが主ではなく、飲む方のことを考えること。これは今でも忘れがちだと思います。
「炭は湯の沸くように置き」。炭手前の話です。湯がちょうど良く沸くように炭を置く。見た目よりも機能を大切にということでしょうか。
「花は野にあるように生け」。この言葉、師匠からも聞いた覚えがあります。過剰に飾り立てず、自然な姿のまま。庭の萩や水引草を一輪持ってきて床に飾るとき、いつもこの言葉を思い出します。
「夏は涼しく冬は暖かに」。今の時季なら、まず涼やかな設えを、ということですね。夏は白の茶碗を使ったり、風通しのよい道具を選んだり。季節を感じてもらうための心遣いです。
「刻限は早めに」。時間を守るということ。余裕をもって準備する、ということでもあると思います。
「降らずとも傘の用意」。天気が良くても、傘の準備を怠らない。先を読んで備えておく、という心がけです。
「相客に心せよ」。一緒にお茶席に座るお客様への気遣いです。亭主だけでなく、お客様同士も気を配り合う。それがお茶の席の和というものだと思います。
師匠が言っていたこと
師匠は「茶道は人のためにするもの」とよく言っていました。
最初のころは、正直意味がよくわかりませんでした。自分が上手くなりたい、きれいな作法を身につけたい、そういう気持ちで通っていたと思います。
でも長く続けていると、少しずつ見え方が変わってきます。お客様が「おいしかった」と言ってくれたとき。一緒に稽古している仲間と、ほっとした時間を過ごせたとき。そういう瞬間のうれしさが、続けてきた理由になっているのだと思います。
利休七則は難しい言葉ではありません。でも、45年経った今も、全部できているかどうかと問われると、首をかしげてしまいます。
こうして文章に書くと、また気持ちが新鮮になりました。
暑さが少し和らいだら、また稽古に戻って、七則のことを頭のどこかに置きながらお点前をしてみようと思います。

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