八月になりました。
お稽古場は毎日暑くて、扇風機をかけながら袱紗を持つような日が続いています。それでも風炉の前に座ると、不思議と気持ちが落ち着くのは、長年続けてきたからでしょうか。
先日のお稽古で、ふと柄杓のことが気になりました。
何十年もお点前をしてきたのに、「柄杓ってどうやって持つんだっけ」と迷う瞬間があるんです。我ながらおかしいですね。でも、そういう瞬間が一番勉強になると、最近は思うようになりました。
柄杓の三つの部分、ちゃんと知っていますか?
柄杓は「合(ごう)」と「柄(え)」と「切止(きりどめ)」の三つからできています。
合はお湯や水をすくう丸い部分。柄は持つ棒の部分。そして切止は柄の先端で、竹を切った跡のようなところです。
気になって調べてみたら、この切止の向きが風炉と炉とで違うんですね。
風炉用の柄杓は、切止が斜めに切られています。炉用はまっすぐ切られていて、少し柄が長い。そんな違いがあるとは、長い間ぼんやりと使っていました。
師匠に言われた「柄杓は生き物」のこと
義母が先生だった頃、こんなことを言われました。
「柄杓は生き物を扱うようにしなさい。乱暴に置いたら、お茶の心が壊れる」
当時はよくわからなかったんです。柄杓は竹と木でできた道具だし、生き物って大げさだなと。正直そう思っていました。
でも長く続けているうちに、少しわかるような気がしてきました。
柄杓をぱっと粗雑に置くと、なんとなくお点前全体がざわざわして見える。ゆっくり静かに置くと、それだけでお点前が落ち着いて見える。見ている方がそう感じるということは、やっている本人の心も影響するんだと思います。
風炉の季節、柄杓の置き方
今は風炉の季節です。
風炉点前では、柄杓を釜の蓋や風炉の縁に置きます。合を釜の口にかけるような形になることが多いですね。炉の時期とは置く場所が変わるので、十一月の炉開きの頃にはいつも少し戸惑います。
「引き柄杓」「切り柄杓」という言葉があります。
引き柄杓はお湯を汲んだあと、柄杓の柄を釜の上で引くようにして置く動作のこと。切り柄杓は、柄を手前に切るように置く動作です。お点前の種類や場面によって使い分けがあるのですが、私はいまだにうっかり間違えることがあります。
お稽古仲間に「どうやって覚えましたか」と聞いたら、「体で覚えるしかないですよ」と笑われました。それもそうですね。
道具を大事にすること
柄杓は竹でできていることが多いので、乾燥に弱いです。
お稽古が終わったらきれいに拭いて、直射日光を避けて保管する。それだけでも随分長持ちするそうです。義母の道具は大切に使われていたからでしょうか、長く現役でした。
今の時期は特に湿気と暑さが道具に響きます。柄杓に限らず、道具の保管には気をつけるようにしています。
柄杓一本のことを書こうと思ったら、思いのほか長くなってしまいました。
次のお稽古では、置き方をもう少し丁寧に確かめてみようと思います。

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