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夏の主菓子(水羊羹・葛)|処暑の頃に

処暑を迎えましたが、まだまだ暑い日が続いています。リハビリへ車で向かう途中、田んぼの稲が少し色づいているのに気がつきました。窓から見る空も、真夏の青とはどこか違います。

秋近し、なんですね。

先日のお稽古で水羊羹をいただきました。冷たくて、つるりとして、暑さに疲れた口にとてもおいしかったです。その時、ふと気になりました。

水羊羹と葛のお菓子は、どちらも涼しそうですが、何が違うのでしょう?

長くお茶をしていますのに、こんなこともはっきりわかりません。家に帰ってから、手元の菓子の本を開き、最近少し覚えたネットでも調べてみました。

目次

夏の主菓子とは

お茶席でいただくお菓子には、主菓子と干菓子があります。主菓子は濃茶に添えられる、やわらかく水分の多いお菓子です。生菓子とも呼ばれます。

夏は水羊羹や葛を使ったお菓子がうれしいですね。口当たりだけでなく、目にも涼しく見えるよう工夫されています。青楓、朝顔、清流などの銘がついていると、それだけで風が通るような気がします。

本を読んでいると、菓子は味だけではなく、姿や銘まで一緒にいただくものだと書かれていました。そういえば義母は、お菓子を出す時に「先に季節を見なさい」と度々言っていました。

その時の私は、早くお点前を間違えずに済ませることばかり考えていました。意味がわかっていなかったんですね。

水羊羹は寒天で固めた羊羹

水羊羹は、餡に砂糖と寒天を加えて固めたものです。練羊羹より水分が多く、やわらかな口当たりになります。

昔は冬のお菓子として作られる地方もあったそうです。今では夏の冷たいお菓子という印象が強いので、これは意外でした。言葉や食べ物の習慣も、少しずつ変わるのでしょうか?

水羊羹の黒くつややかな肌は、よく見るときれいです。飾り立ててはいないのに、菓子器の上で静かに涼しさを感じさせます。冷やしすぎると餡の味がわかりにくくなるともありました。冷たければ冷たいほどよい、と私は思っていました。

難しいです。

葛の菓子は透ける姿もごちそう

葛菓子は葛粉を水で溶き、砂糖などを加えて火にかけ、練って作ります。葛饅頭なら、透き通った葛の中に餡が見えます。あのぷるんとした弾力と、なめらかな舌ざわりは寒天とは違います。

葛は練り方や火の入れ方が大切だそうです。透明になっていくまで練るのは、ずいぶん力がいるでしょう。私は食べるばかりで、作る方の苦労を考えたことがありませんでした。

以前、義母が葛のお菓子を出してくれた時、「これは早くお出ししないといけません」と言ったことを思い出しました。葛は時間がたつと白っぽくなったり、食感が変わったりします。作りたての美しさを逃さずにいただくお菓子だったのですね。

今になって、義母の言葉が腑に落ちました。

同じ涼しさでも違いました

水羊羹は寒天の歯切れと餡の味を楽しみ、葛菓子は葛の弾力や透明感を楽しむ。どちらも夏の主菓子ですが、涼しさの表し方が違います。

水羊羹は深い水のようです。葛饅頭は、浅い清流の中に石が見えているようにも思えます。これは私なりの感じ方です。

お菓子の銘を聞き、姿を眺め、黒文字を入れて一口いただく。ほんの短い時間なのに、残暑を忘れます。冷房のなかった頃の人は、こうして目や言葉でも涼んでいたのでしょうね。

次のお稽古では、食べることに夢中にならず、水羊羹なのか葛のお菓子なのか、手ざわりや色までよく見てみようと思います。

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