処暑を迎えましたが、まだまだ残暑が厳しいです。リハビリへ向かう車の中から田んぼを見ると、稲の色が少し変わってきたように見えました。暑い暑いと言いながら、秋は近づいているんですね。
先日のお稽古では、平茶碗を出しました。口が大きく開いた茶碗を見ているだけで、何となく涼しく感じます。長年使っているのに、なぜ夏には平たい茶碗なのだろうと気になりました。
知っているつもりでも、いざ言葉にしようとするとわかりません。
平茶碗とは
平茶碗(ひらぢゃわん)は、普通の茶碗よりも口が広く、背の低い形をした茶碗です。主に風炉の季節、暑い時分に使われます。
手元にある茶道具の本を開いてみると、口が広いために湯の熱が逃げやすく、茶が冷めやすい形だとありました。なるほどと思いました。暑い日に、少しでも飲みやすくとの心遣いなんですね。
見た目にも水面が広く見えます。お茶を点てると、緑の色がのびのびとして、とてもきれいです。平たい形そのものが涼しさを見せているように思います。
点ててみると難しいです
平茶碗は口が広いので、茶筅を動かしやすそうに見えます。ところが実際に点てると、私は泡をきれいに整えるのが中々うまくいきません。茶筅を大きく動かしすぎるとお茶が散りそうになりますし、茶碗の底が浅いので、いつもの加減では落ち着かないのです。
以前、師匠の義母から「道具が変われば、手も変わらないといけません」と度々言われていました。その時は、道具に合わせて扱い方を変えるという意味だろうと思っていました。
今になって、手だけではなく気持ちも変えることなのかもしれないと思うようになりました。
平茶碗を扱う時は、涼しく見えるように。急がず、重たくならないように。そんなことまで義母は言っていたのではないでしょうか? 今さら聞けないのが残念です。
「平たい」だけではなかった
平茶碗という言葉は、形をそのまま表した分かりやすい名前です。けれど調べてみると、ただ平たい茶碗というだけではありませんでした。
茶が冷めやすいこと。広がりのある形で涼しさを感じさせること。季節に合わせて道具を取り替え、お客様に暑さを忘れていただくこと。小さな茶碗一つにも、いろいろな思いが入っているんですね。
面白いです。
お稽古のあと、平茶碗を洗ってしばらく眺めました。見込みに残った水が晩夏の光を映して、きらきらしていましたので、思わずパチリ。
処暑とは暑さがおさまる頃だそうですが、九州の暑さはもう少し続きそうです。次のお稽古でも平茶碗を出して、今度は少し軽やかにお茶を点ててみようと思います。

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