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盆踊りの夜に|金魚と、初盆と

八月十四日の夜。

やぐらのまわりに提灯が灯っていました。

盆踊りの音が聞こえます。

子どもたちの声もにぎやかです。

少し離れたところには、回出位牌と焼香台が用意されていました。

明るさと静けさが、同じ場所にありました。

目次

孫たちと金魚すくい

私は途中から合流しました。

美月と、二人の孫息子が来ていました。

三人の荷物を預かると、私はすっかり荷物番です。

無料の金魚すくいがありました。

三人とも夢中です。

一度で終わるのかと思ったら、また並びます。

そして、また並びます。

とうとう最後まで離れませんでした。

気がつけば、金魚は五十匹ほどになっていました。

えっ、こんなに。

驚きました。

袋の中を泳ぐ小さな金魚。

赤いのや、黒いのや、まだ小さいのもいます。

孫たちはうれしそうです。

大人は、これをどうするのだろうと心配になります。

子どもはそんなことは考えませんね。

今、目の前にいる金魚がかわいい。

それだけです。

面白いですね。

帰るつもりでしたが

私は途中で帰るつもりでした。

まだ足に違和感があります。

長く立っていると、やはり少しくたびれます。

けれど、思いのほか盆踊りが早く終わりそうでした。

それなら最後までいよう。

そう思いました。

孫たちの荷物を持ったまま、やぐらの前を眺めていました。

音楽が流れます。

踊る人がいます。

走り回りたい子どもたちを、親たちが呼び止めています。

美月も楽しそうでした。

夏の夜は、どうして子どもをあんなに元気にするのでしょうか?

私は立ちっぱなしで少しくたびれました。

それでも、来てよかったと思いました。

隣のおばあちゃんの初盆

今年は、隣のおばあちゃんの初盆でした。

長い間、家族ぐるみで親しくしてきました。

隣のおばあちゃんと言っていますが、私たちには身内のような人でした。

盆踊りは、初盆のお参りも兼ねていました。

やぐらの前には回出位牌がありました。

そのそばに焼香台が置かれていました。

にぎやかな盆踊りの中で、静かに手を合わせます。

不思議な感じがしました。

孫たちの笑い声がします。

金魚の袋が揺れています。

そのすぐそばで、亡くなった方を思う人がいます。

どちらも、この夜の大切な姿なんですね。

隣のおばあちゃんも、にぎやかな子どもたちを見ていたかもしれません。

そう思うと、少しうれしくなりました。

同じ夏の夜に

五十匹ほどの金魚。

三人の孫たち。

提灯の明かり。

回出位牌と焼香台。

にぎやかな声と、静かに合わせる手。

みんな同じ夏の夜の中にありました。

命は、にぎやかだったり、静かだったりします。

うまく言えません。

けれど、この夜に一緒にあったことが心に残りました。

もう八月も半ばです。

暑さはまだ続きますが、夏は少しずつ過ぎているのでしょう。

足は少しくたびれました。

金魚の多さにも困りました。

それでも、最後まで一緒にいてよかったです。

特別な盆の夜になりました。

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