薄茶のお稽古に使おうと、菓子箪笥から淡い水色の琥珀を出しました。
指でつまむと、思ったより軽い。
光に透かすと、小さな氷のかけらのようです。
一つ味見をしてみました。
外はしゃりっとして、中は少しやわらかい。
寒天で作るのに、どうしてこれは干菓子と呼ばれるのでしょう。
水気のあるお菓子は主菓子ではなかったかしら。
琥珀と寒天
手元の菓子の本を開いてみました。琥珀糖は、寒天を水で煮溶かし、砂糖を加えて固めた菓子とありました。錦玉糖、金玉羹などと呼ばれることもあるそうです。
寒天は海藻から作られます。透明に固まるので、夏の水や露、涼しそうな景色を表すのによく使われるんですね。
琥珀という名は、宝石の琥珀に似た色や姿からついたと書かれていました。昔は、くちなしで琥珀色に染めたものもあったそうです。今は水色や薄紅、緑など、きれいな色のものを見かけます。
長くお茶をしていますが、私は透明な寒天菓子を何となく皆「琥珀」と呼んでいました。名前にも違いがあるとは、中々覚えません。
干すと外がしゃりっとします
寒天と砂糖を流して固めたばかりのものは、つるりとして水分があります。それを少しずつ乾かすと、表面の砂糖が結晶になり、あのしゃりっとした薄い衣ができます。中には寒天のやわらかさが残ります。
なるほど。
干菓子という言葉から、私は落雁や和三盆のように、初めから乾いた菓子ばかりを思い浮かべていました。琥珀は「干す」ことで、外と中の食感が変わる菓子だったんですね。
本によっては琥珀糖を半生菓子に分けているものもありました。どのくらい水分を残すかで、錦玉、琥珀糖、干錦玉と呼び名が変わることもあるようです。
これは難しいです。
お菓子はきっぱり三つに分かれるものだと生意気に思っていましたが、作り方や乾かし方で境目が変わります。お店によって仕上がりも違うのでしょう。薄茶に添えるときは干菓子として扱うことがあっても、菓子の分類では半生菓子とされる。どちらかだけが間違い、ということではないようです。
義母が選んだ琥珀
昔、義母が晩夏のお稽古に、薄い黄色の琥珀を出したことがありました。私は涼しそうだから選ばれたのだろうと思っていました。
義母は、
「色だけを見てはいけません。口にした時の感じも考えなさい」
と言いました。その時は、何をそこまで考えるのだろうと思ったものです。
残暑の頃、表面のしゃりっという音のあとに、やわらかな甘みが残る。冷たい菓子ではありませんのに、どこか涼しく感じます。義母は見た目だけではなく、その食感まで選んでいたのかもしれませんね。
今日の琥珀を一つ口に入れてみました。しゃりっと割れて、寒天のやわらかさが出てきました。
ああ、このことだったのか。
次のお稽古では、色だけで決めず、乾き具合もよく見て干菓子器にのせてみようと思います。

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